最近の研究の紹介木造住宅の崩壊解析による耐震診断-新しい精密・動的な耐震診断と補強方法-

木造の建売/注文住宅の崩壊解析による耐震診断法を開発。住まいの新しく精密で動的な耐震診断法であり、設計図から建物の欠陥を発見。シミュレーションで3次元(d3)アニメ動画表示。建設業者/メーカーによる耐震リフォーム/耐震補強/地震対策の費用を安く抑え、地震に強い一戸建て木造の新築/中古/建売/注文住宅の建設/家づくり/リフォーム/耐震改修を達成。

論文著者名:タイトル
(雑誌名)

地震, Vol. 57, pp. 29-43, 2004
粒子軌跡のモデル化によるレイリー波の伝播方向の一推定方法 (4)
楊仲元,川上英二,H. R. Haddadi,孫耀南

2.1 従来のNIOM法の概要

NIOM法は定常線形システムの振動数領域での理論に基づいており,上下動観測波形と水平動観測波形のフーリエ変換,それぞれを伝達関数で次式のように関係付けている.まず,伝達関数を観測波形と (1) 式を用いて計算する.

                       (1)

            (=1, 2, , )

ただし,はサンプリング間隔,はサンプル数である.

 伝達関数はシステムの物理的特性だけに依存するので,モデル化された上下動と水平動の間にも同様な次の関係が成り立つものと仮定する.

                        (2)

ただし,モデル化された上下動と水平動を,すなわち時間の関数としてのを,また,それぞれのフーリエ変換であるを,以降では,「上下動モデル」と「水平動モデル」と呼ぶことにする.

 上下動モデルの離散フーリエ逆変換は次式で与えられる.

                  (3)

ここで,任意の時刻で,例えばで,すなわちで,上下動モデルの振幅は1に規準化されていると仮定すると,(3)式から次式が得られる.

                           (4)

 ラグランジェ未定係数法を用いて,上下動モデルと水平動モデルのフ-リエ振幅の自乗和を(4)式の条件付きで最小化することを考える.まず,次の関数を考える.

     (5)

ただし,はラグランジェの乗数である.そして,上下動モデルと水平動モデルは(5)式を最小化することにより求められる.(2)式を(5)式に代入し,以下の条件により求められる.

            =0         (6)

結局,上下動モデルと水平動モデルは次式で得られる.

                  (7)

                  (8)

(8)式は(7)式で得られた単純化された上下動モデルに対する線形システムの応答((2)式参照)に対応している.本方法はNormalized Input-Output Minimization (NIOM)法[Kawakami and Haddadi (1998), Haddadi and Kawakami (1998)]と呼ばれている.

 (5)式は,上下動と水平動の2乗和を (4) 式の条件の下で最小にする式であるが,レイリー波では,例えば上下動と水平動の楕円率は,周波数に依存した値になるなどの物理的力学的特性を本解析では仮定していない.

(続き)