最近の研究の紹介木造住宅の崩壊解析による耐震診断−新しい精密・動的な耐震診断と補強方法−

木造の建売/注文住宅の崩壊解析による耐震診断法を開発。住まいの新しく精密で動的な耐震診断法であり、設計図から建物の欠陥を発見。シミュレーションで3次元(d3)アニメ動画表示。建設業者/メーカーによる耐震リフォーム/耐震補強/地震対策の費用を安く抑え、地震に強い一戸建て木造の新築/中古/建売/注文住宅の建設/家づくり/リフォーム/耐震改修を達成。

論文著者名:タイトル
(雑誌名)

土木学会論文集,No.780/I-70, pp.41-56, 2005

アレー観測データに基づく地表面近傍での地震波動の伝播方向の推定(6)
楊仲元,川上英二


5.地震動の伝播(到来)方向の解析結果

 

 -6には,観測地点を原点にとり,8つの地震の震源の方向を示す.ただし,方向を3次元内の長さ1のベクトルで表している.この中,-3より@の1992.02.02東京湾地震とFの1988.03.18東京都内地震の震源深さはそれぞれ約92km96kmで最も深く,Cの1990.02.20伊豆大島付近地震の震源深さは約6kmで最も浅い.また,Gの1987.02.06福島県東部沖地震の震央距離は約219kmで最も遠く,Aの1991.11.19千葉県中部地震の震央距離は約8kmで最も近い.

4章で求めた全44地点での入射波と反射波のピークの到達時刻〔モデル内の入射(反射)波に対応するピークが生ずる時刻〕を用いて,8つの地震の3成分それぞれに対して伝播方向(単位ベクトルおよび方位角)を計算した.

-7,8には,8つの地震に対し推定された入射波および反射波それぞれの到来方向を表す単位ベクトルを3つの断面内で示している.ただし,震源(震央)の位置や方向(-26)との対応を見やすくするため,伝播方向の代わりに-7では到来方向 を,-8では方向を示している.また,-9には式(19)による波動の伝播速度8地震3成分の入射波と反射波それぞれに対して示してある.伝播速度は地震や入射波・反射波の違いに依らないこと,上下成分の伝播速度は約500600m/sであり,水平成分の伝播速度(200300m/s)より大きいことが判る.これらの速度は,それぞれP波およびS波の伝播速度3),4)に対応しているものと考えられる.

 例えば,@ 1992.02.02東京湾地震に対する計算結果は,以下のようである.-26より,本地震の震央は観測地点からほぼ南西方向に位置している.一方,-7,8より,EW,NS,UD何れの成分の地震波も南西方向から到来し,入射波は,西より8586度,南より7982度,下より912度の方向から到来し,反射波は,東より8586度,北より7881度,下より1113度の方向に伝播している.

入射波と反射波の伝播方向は上下方向は当然逆になっている(入射波は下から上へ,反射波は上から下へ)が,水平方向は類似(南西方向から北東方向に伝播)し,地図上の位置関係と対応(震央は観測点の南西方向)している.

AからGの地震の計算結果に対しても同様な検討が可能であり,これら8つの地震の伝播方向は,方向の中で(鉛直)方向の成分が最も支配的()であり,すなわち地震波の伝播方向は地表近くではほぼ鉛直方向を向いていることがわかる.定量的には鉛直()軸からの方位角の範囲は422度である.これは,地震動の伝播方向が震源から地表に近づくに従って,次第に鉛直方向に向かうためである.

入射波と反射波の伝播方向は上下方向は当然逆になっているが,水平方向は類似し,震央と観測地点の地図上の位置関係と対応している.

EW,NS,UD成分の入射波,反射波の合計6つのデータは独立したデータであり,これらより類似した結果が得られたことを考えると得られた結果が信頼できることが判る.また,この結果は,-78の上,中,下段の図が類似していることに対応している.そして,-786つの左図(水平面内の伝播状況)は,地図上の震央方向を示す-6の左図ともよく一致しているわずかな違いはUD成分(-78の下段左図)のベクトルが水平(EW,NS)成分(上中段左図)と比べて少し短く,UD成分の入射反射方向は水平(EWNS)成分よりやや鉛直方向に近いことである.

上述の結果は常識と異なるものではないが,実測結果から得られた意味は大きいものと考えられる.





(続き)