最近の研究の紹介木造住宅の崩壊解析による耐震診断−新しい精密・動的な耐震診断と補強方法−

木造の建売/注文住宅の崩壊解析による耐震診断法を開発。住まいの新しく精密で動的な耐震診断法であり、設計図から建物の欠陥を発見。シミュレーションで3次元(d3)アニメ動画表示。建設業者/メーカーによる耐震リフォーム/耐震補強/地震対策の費用を安く抑え、地震に強い一戸建て木造の新築/中古/建売/注文住宅の建設/家づくり/リフォーム/耐震改修を達成。

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埼玉大学開放デー(2008年5月24日)講演会資料

木造家屋の崩壊解析耐震診断法とその適用例 (1)

埼玉大学地圏科学研究センター 教授  川上 英二

1.建物の被害と人命被害

 大地震による人命被害の主な原因は、建物崩壊と火災延焼である。実際、1995年の阪神大震災では、6000名以上の人命が失われた。その第一の理由は地震により家屋が倒壊したため(2007新潟県中越沖地震による木造住宅の被害例を写真−1、写真−2に示す)であり、その後、建物の耐震化の必要性が繰り返し指摘された。しかし、阪神大震災での教訓にも拘らず建物の耐震化は殆んど進んでいない。

著者は、この主な理由を、

(1) 地震時に建物が具体的にどのように壊れるかが想像できない

(2) 従って、どこをどう補強すれば良いかが判らない

(3) 全てを補強するなら建替えた方が経済的である

ためであると考えた。そして、

(4) 地震時に具体的にどのように壊れるかを動画(アニメーション)で示し、

(5) どこを補強すべきであるか、設計変更すべきであるかを明らかに示し、

(6) 補強箇所を2、3箇所に限定した経済的な補強、設計変更を提案する

ことを可能にすれば、建物の耐震化が飛躍的に進むものと考えた。そして、新しい耐震診断方法として「崩壊解析 耐震診断法」の計算プログラムの開発を開始した。

従来、建物の地震応答解析は微小な変位での理論に基づくものが大部分であり、大変形、更には、崩壊までを解析した例はほとんどない。しかも、比較的安価な木造住宅においては、複雑な計算を行うこと自体が稀である。しかし、近年の計算機の発達は著しく、優れた計算プログラムシステムを開発すれば、精度が良い耐震診断が可能である。

(続き)